2025年04月05日

米国東海岸で見たもの 02 教会

 約三十年前に米国ニュージャージー州に1年間滞在させて頂いた際に見聞きしたこと、それに触れるシリーズの2回目です。

 これは私が滞在した研究所で助手を務めておられた方(オランダ生まれの米国人)から聞いた話です。彼は複雑な光学システムの調整を職人技でこなしていました。娘さんが(私でも知っていた)有名アパレルブランドの副社長をやっているとのことでしたが、私が実験で困っていると親切に手を貸してくれたり、勝負時には夜遅くまで実験室に籠もるという技術屋でした。ある連休明けに「休みはどうでしたか?」と私が尋ねたところ、彼がこぼし始めました。

 彼の奥さんがギャンブルに熱狂していて困っているとのこと。ニュージャージー州の有名なカジノ都市のアトランティックシティに休暇で行ったら、奥さんが夢中になってしまったそうです。アトランティックシティは、もともと、ネイティブアメリカン部族の居住地でした。1976年にギャンブルを合法化した結果、ラスベガスと並ぶ数のカジノが林立する地域になったようです。地域は家族向けリゾートを目指しているそうですが、住民の4分の1が貧困線以下の生活をしているとのこと。「貧困線」とはその地域で最低限の生活を営むために必要な所得の水準を意味します。件の助手氏もネイティブアメリカンについても言及していましたが、私には真意が図りかねる内容でした。

 とまれ、そんな私に対して助手氏の話は続きました。「お前はビンゴを知っているか?」と聞くので、日本の結婚式の二次会や忘年会で行われるゲームを思い出して「Yes」と答えました。すると、「あれはすごいよ。賞金が次週に持ち越されて金額が膨れ上がるんだ。」と助手氏。何のことかわからないという顔を私がしていると、説明が続きました。助手氏の奥さんは普段もビンゴゲームにも熱中しているとのこと。私が思い出していた「ささやかな景品」を獲得するビンゴゲームではなく、賞金を得るためのものだったのです。しかもお祈りに行く教会で開催されるものだと。ビックリして「宗教の場がギャンブルの主催者になるとは、本当かな?」と思いました。当時の私が抱いていたキリスト教会のイメージとかけ離れていた為です。

 その話を耳にしてから、自動車で各所に出かける際に道路に面している十字架の建物に注意するようになりました。すると、アルファベットをはめ込む形の大きな掲示板が道路に面して設置されていて、そこに「ビンゴゲーム開催中、、、賞金は、、、」と出ているのがあちこちで目に留まりました。

 「本当らしい」「信者獲得のための賞金ビンゴゲームなのかな」と呟いたのは事実です。キリスト教会のイメージを変えねばと感じましたが、「そういえば、江戸時代の富くじも寺院や神社が主催だったな、、、。」と妙な納得をした次第です。ニュージャージー州のキリスト教会もビンゴゲームの収益を慈善事業に充てていたのに違いないと今では考えています、、、たぶん。

 このシリーズはこちらに続きます。また、このシリーズの最初はこちらです。

↓ アトランティックシティ。こちらから転載させて頂きました。
米国東海岸で見たもの 02 教会




Posted by 島田市岸町の工学博士 土屋昌弘(つちやまさひろ) at 03:07│Comments(0)社会
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