2025年05月07日
斎場の惨状

↑ 斎場の渡り廊下の脇の庭園。雑草が目立ちます。

↑ 「聖域の庭」とあります。斎場にとって神聖な場所ということらしいのですが、、、。

↑ こちらは別の庭園。
----
〉
近親者の葬式がほぼ毎年行われるようになり、市が運営する斎場に足を運ぶことが増えました。
〉
死者を見送る場です。山本周五郎の小説の赤ひげ先生は「人間の一生で、臨終ほど荘厳なものはない、それをよく見ておけ」と保本医師に伝えています。斎場はその荘厳さの最後を司る場のはずです。
〉
ところが、生い茂る雑草が荘厳さの腰折れを誘います。特に、お骨を拾う部屋の隣にあり名前も付けられている庭の惨状が目につきます。
〉
「これを見て、担当者は平気なのだろうか、、、。」と、毎回、思わずにはいられません。いつ来ても荒れ放題です。
〉
〉
斎場では温かい緑茶が飲めません。
〉
市は緑茶化計画を推進中と聞きます。聞くところによる「地球上で最も緑茶を愛する」街なのだそうです。
〉
ところが、冷たいPETボトルのお茶か自販機の冷たい飲料があるだけです。温水器は使用中止で、やかんの姿も見えません。
〉
死者を見送る者が温かいお茶を飲めない「地中上で最も緑茶を愛する」街の斎場とは最高の皮肉です。
〉
〉
行政の軽さが現れているように思われます。
〉〉〉〉
2025年04月14日
島田市シルバー人材センターにお世話になりました

↑ こちらから転載させて頂きました。
----
〉
とても親切で助かりました。
〉
母の畑にあるクリ、スモモ、ウメなどの果樹を剪定した際、残ってしまった剪定枝をどう処分しようかと何年も悩んでいました。農業目的であれば野焼きも可能らしいとは知りましたが、強風の連続で火の始末に自信が持てませんでした。ゴミ焼却場で処理してもらおうと考 えましたが、運搬用のトラックの目処が立たず、困っていました。
〉
以前に岸町のシルバー人材センターの窓口に別件をお願いした際、「申し込みは独居高齢者に限る」と断られていました。無理かもしれないとも考えましたが、ホームページを頼りに恐る恐るおおるりにある島田市シルバー人材センターに電話を掛けてみました。すると、、、。
〉
電話応対に出られた方はとても感じがよく、丁寧に説明して下さいました。そして、なんと「独居高齢者に限らない申し込みが可能」とも。とても驚いて「地域によってルールが違うのですか?」と聞き返したところ、「ワンコインサービスには制限があるので、そちらだったかもしれない」と教えてくださいました。「依頼した内容はワンコインサービスの対象ではなかったのに、、」と思いましたが、声には出さないで終わりました。どうやら複数の勘違いが挿入された結果だったようですが、、。
〉
先日、お二人の方がトラックで畑を訪れて下さいました。「積み込みはこちらでやります」と事前にお伝えしていたのですが、親切にも積み込みを手伝ってくださいました。あっという間に積み込みが終了し、お二人はゴミ焼却場に向かって出発されました。
〉
大変に感謝しています。
〉
最後に少しだけ改善案を考えてみたいと思います。
〉
1)簡単な料金表がHPにあるとよいかと。
2)高齢者の銀行振り込み(※)が困難になっていますので、その対策を打たれた方がよいかと。
3)HPにおいて基本理念と活動状況のちぐはぐさが気になりましたので、修正された方がよいかと。
※)65歳の誕生日から遡る3年間に振込の実績がないとATM振込上限金額が自動的にゼロ円になります。これがいつから始まった制度なのか、広報を十分に行っているのか、と問い合わせをしたところ、回答は「不明」でした。窓口からの振込は同じ金融機関内の振込でも有料となりますし、「午前中に限る」という時間制限もあります。金融機関がこれでよいのでしょうか?
〉〉〉
タグ :シルバー人材センター剪定枝処理
2025年04月13日
プロ農家の農薬散布と家庭菜園

↑ あぜ道の雑草を刈払い機で除く農家。こちらから転載させて頂きました。
----
〉
プロ農家の農地と家庭菜園の農地が隣接していることはよくあります。私が目撃したことを以下に記します。皆様は如何様に受け取られますか?
〉
住宅地にある田圃での出来事です。田起こし前の春だったと記憶しています。その田圃は、私の知り合いの家庭菜園に隣接しているだけでなく、幼児の洗濯物が干してあるアパートも隣にあります。実際、赤ちゃんを抱いたお母さんが出入りする姿も見かけられました。もう一面もアパート、他の一面は道路を介して住宅が並んでいます。
〉
その田圃では、おそらく、農家の稲作が困難になったのでしょう、企業が代理で耕作していました。食品を販売している有名な会社です。
〉
とても風の強い日でした。その企業の作業者二名が噴霧器で何かを散布していました。「強風の下で」です。しかも、噴霧器の出口はある方向を向いていました。一般に推奨されている「下方」ではなく「前方の斜め上方」でした。
〉
見かねた私はその作業者に「何を散布しているのですか?」と質問しました。「除草剤」という回答。「どんな除草剤ですか?」とさらに問うと「知らない」とのこと。「近くに赤ちゃんのいるアパートがあり、その隣には家庭菜園も見えるのに、それでいいんですか?事前に連絡したんですか?」と詰めると「やめます」と返答。「最低限、洗濯物を干さないようにとか前もって知らせなくていいんですか?」「除草剤の危険性(あるいは安全性)を把握していないんですか?」「家庭菜園のひとが除草剤をかぶった野菜を食べても構わないのですが?」などなど、、。返事があいまいだったので名刺を求めたところ、「主任」と記されていました。もう一人の作業者は「何をごちゃごちゃ言っているのか?」という罵声を掛けてきました。
〉
私は自分が常識と考えることを基に上記の問いかけをしたのですが、農家には農家の流儀があって自分が間違っているのかもしれないと感じ、親戚の農家に電話で問い合わせをしました。「強風下の除草剤は常識外れ」「除草剤は下向きで散布するのが当たり前」との回答。有名な食品会社の「〇〇農園」という部署の行動が常識外れと知って愕然としました。
〉
稲作の代行ということ自体はとても感謝すべきことです。住宅街で放置された田圃は雑草が生い茂る藪となり、望ましくない害獣や害虫の棲み家となります。ですが、農薬の管理はしっかりとお願いしたいところです。
〉
ところが、その企業は代行を取りやめてしまいました。私の問い合わせが原因だったようです。プロ農家に採算を考慮する必要があるのは理解しています。ですが、農薬被害を抑圧する努力は放棄されるべきではないと考えます。また、その企業が販売している食品についても「衛星管理が甘いのではないか」と疑念を持たれる端緒となりかねないはずです。コンプライアンスの問題でもあります。
〉
もう一つ、重要なことがあります。家庭菜園とプロ農家の違いです。技術の差のことではありません。
〉
家庭菜園では、通常、多種多様な作物を少しずつ栽培します。時期をずらして。それを食する人数が少ない、通年で収穫して食したいという当たり前の事情と要望です。従って、多くの場合に無農薬栽培が選択されます。すぐに食する作物のそばで農薬散布を行う気にはなれないからです。
〉
これに対して、プロ農家の作物は多くの場合に単一です。でなければ、機械化も導入できないし手間が係る割に収穫量が望めません。経営上の当然の判断です。単一作物の場合、収穫時期はほぼ決まっていますし、その収穫に支障が生じない農薬散布の時期も決まっています。米作の場合を例にとると、秋の稲刈りの時期には効き目が十分に弱まっている農薬が害虫対策や雑草対策のために7月頃に散布されます。この農薬の強度が不十分であれば、秋の収穫に響きます。
〉
この7月の農薬散布の際、その隣にある家庭菜園では無農薬のキュウリやナス、トマトが採りごろとなります。もしも農薬が家庭菜園に風で流れてきたらどうなるでしょうか?濃い農薬が付着した野菜を頂くことになります。無農薬を信じている場合、野菜の洗い方も簡素。菜園でそのまま食する人もいます。プロ農家の農薬散布が家庭菜園に知らされていなかったら、、、とても怖い話です。
〉
静岡県の農業課に問い合わせたところ、さすがにこの危険性を認知していました。が、残念なことに、現在の法律では取り締まりができないとのことでした。そのような企業に対して勧告はできると言っていただきましたが、「そんなこと言うならば代行稲作をやめる」と脅迫じみた発言をしたその企業に対しては証拠写真が必要と考え、「もう少し様子を見てみます」とその時は答えました。なお、島田市の農業委員会に問い合わせた際には「専門家がいない」との回答でした。
〉
プロ農家との近所づきあいがあるならば、お互いに配慮し合う関係が期待できます。実際、除草剤は一切使わずに刈払い機で対応される住宅隣接農地もあります。が、企業農業の場合にはその配慮をすべての会社に期待できません。四六時中の監視も無理です。何かいい方法はないでしょうか?
〉
島田市がプロ農家が困ることなく、安心して家庭菜園も楽しめる場となるといいなと感じた次第です。
〉
以下はご参考です。
〉
こちらに農林水産省の通達があります。その中に次の内容があります。平成25年4月26日とあるので、2013年の通達と思われます。私が目撃した上記事件よりも10年近く前のものです。恐ろしいことです。
〉
【ここから】
(4)農薬散布は、無風又は風が弱いときに行うなど、近隣に影響が少ない天候の日や時間帯を選び、風向き、ノズルの向き等に注意して行うこと。
(5)農薬の散布に当たっては、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、散布日時、使用農薬の種類及び農薬使用者等の連絡先を十分な時間的余裕をもって幅広く周知すること。その際、過去の相談等により、近辺に化学物質に敏感な人が居住していることを把握している場合には、十分配慮すること。また、農薬散布区域の近隣に学校、通学路等がある場合には、万が一にも子どもが農薬を浴びることのないよう散布の時間帯に最大限配慮するとともに、当該学校や子どもの保護者等への周知を図ること。
(6)農薬を使用した年月日、場所及び対象農作物、使用した農薬の種類又は名称並びに使用した農薬の単位面積当たりの使用量又は希釈倍数を記録し、一定期間保管すること。
【ここまで】
〉
また、以下の動画には除草剤を散布する際に使用すべきノズルなどが述べられています。
〉〉〉〉
2025年04月01日
空港周辺の未来
現役の研究者の頃、海外で開催される学会に出席する際、飛行機を利用していました。座席は最後尾の窓際をいつも選んでいました。当然、エコノミー席です。その席からは海や山や雲も楽しめるのですが、本当の目的は到着空港近辺の街や空港自体の様子を上から観察するためでした。
この目的には主翼が邪魔です。結果、最後尾という選択になりました。もちろん、出張費用倹約の縛りの中で。デメリットも発生しました。到着後に機体から降りるのは乗客中の最後でしたし、入国審査や税関は最後に通る結果となりました。
最も微笑ましい思い出はフランスのパリのシャルル・ドゴール空港で着陸後に刻まれました。滑走路脇の草むらから多数のウサギが飛び出し、まさにピョンピョンと駆け回っていました。こんな空港もあるのだと長時間フライトの疲れも抜けていくようでした。
米国では住宅開発の様子が伺えました。徒歩や自動車では、住宅地の中に入っても全体像が掴めません。一軒一軒の敷地が広いためですが、空からは一目瞭然でした。同じ形式の住宅が幾何学的に並んでいるのです。おそらく、開発会社が一定区画への最密充填を考えて設計したのでしょう、住宅購入者のニーズを天秤にかけながら。また、地域によっては「敷地内に必ずプールがある」というケースもありました。
ちょっと脇道にそれるかも知れませんが、米国でお世話になった教授のお宅での経験を記しておきます。自宅の敷地内にプールを持つ家庭には、大抵、飛び込み板があるようです。プールの深さも十分なため、水面から3m程度の高さまで飛び上がって頭からダイブしていました、なんと中年の教授が自ら。教授宅を共に訪ねた米国人男子学生たちもほぼ全員がこれを楽しんでいました、躊躇なく慣れた様子で。現在の日本でも大型のスイミング施設でなければ経験できない板飛び込みが、米国では(裕福な)家庭の庭で出来るという事実に驚いたものです。なお、ニュージャージー州にはキャビン付きのボートが庭に置いてある家屋も散見されました。これを自家用車で牽引してゆく光景を高速道路で目撃しましたが、目的地は川か湖か海か…。本当に貿易赤字で苦しむ国の住宅街なのかとも感じた次第です。
飛行機に話を戻します。そのように空から住宅街の様子を見ていると気づくことがありました。空港に近づくにつれて洗濯物を外で干している家屋が増え、プールのある住宅が消えるということです。
私が米国滞在中に驚いた一つに、アパートの契約事項に含まれていた「洗濯物を外で干さない」があります。これは、西海岸のカリフォルニアでも東海岸のニュージャージーでも同じでした。二階建ての低層建築物で、バルコニーもあるというのに。「外見でアパートの価値が下がる」のをオーナーが嫌う趣旨だったと理解しています。学生街アパートでは共同で、タウンハウス仕様のアパートでは各戸に、大型乾燥機が備わっていました。「それを使うべし」という訳です。ということは、空港近くの家庭では「やむを得ず」洗濯物を外で干しているという解釈が成り立ちます。プール非所有が増えることと併せて考えると、どのような結論になるでしょうか?
カリフォルニアで私が住んでいた町(ロサンゼルスから自動車で2時間)にもジェット機が発着する地方空港がありましたが、ラグーンの中に位置し、人口密度はゼロに近い場所でした。各国の主要国際空港が首都の中心に位置しないことを上記観察結果と合わせて考えると、空港はNIMBYの代表格なのだろうと、背筋がちょっと寒くなりました。




この目的には主翼が邪魔です。結果、最後尾という選択になりました。もちろん、出張費用倹約の縛りの中で。デメリットも発生しました。到着後に機体から降りるのは乗客中の最後でしたし、入国審査や税関は最後に通る結果となりました。
最も微笑ましい思い出はフランスのパリのシャルル・ドゴール空港で着陸後に刻まれました。滑走路脇の草むらから多数のウサギが飛び出し、まさにピョンピョンと駆け回っていました。こんな空港もあるのだと長時間フライトの疲れも抜けていくようでした。
米国では住宅開発の様子が伺えました。徒歩や自動車では、住宅地の中に入っても全体像が掴めません。一軒一軒の敷地が広いためですが、空からは一目瞭然でした。同じ形式の住宅が幾何学的に並んでいるのです。おそらく、開発会社が一定区画への最密充填を考えて設計したのでしょう、住宅購入者のニーズを天秤にかけながら。また、地域によっては「敷地内に必ずプールがある」というケースもありました。
ちょっと脇道にそれるかも知れませんが、米国でお世話になった教授のお宅での経験を記しておきます。自宅の敷地内にプールを持つ家庭には、大抵、飛び込み板があるようです。プールの深さも十分なため、水面から3m程度の高さまで飛び上がって頭からダイブしていました、なんと中年の教授が自ら。教授宅を共に訪ねた米国人男子学生たちもほぼ全員がこれを楽しんでいました、躊躇なく慣れた様子で。現在の日本でも大型のスイミング施設でなければ経験できない板飛び込みが、米国では(裕福な)家庭の庭で出来るという事実に驚いたものです。なお、ニュージャージー州にはキャビン付きのボートが庭に置いてある家屋も散見されました。これを自家用車で牽引してゆく光景を高速道路で目撃しましたが、目的地は川か湖か海か…。本当に貿易赤字で苦しむ国の住宅街なのかとも感じた次第です。
飛行機に話を戻します。そのように空から住宅街の様子を見ていると気づくことがありました。空港に近づくにつれて洗濯物を外で干している家屋が増え、プールのある住宅が消えるということです。
私が米国滞在中に驚いた一つに、アパートの契約事項に含まれていた「洗濯物を外で干さない」があります。これは、西海岸のカリフォルニアでも東海岸のニュージャージーでも同じでした。二階建ての低層建築物で、バルコニーもあるというのに。「外見でアパートの価値が下がる」のをオーナーが嫌う趣旨だったと理解しています。学生街アパートでは共同で、タウンハウス仕様のアパートでは各戸に、大型乾燥機が備わっていました。「それを使うべし」という訳です。ということは、空港近くの家庭では「やむを得ず」洗濯物を外で干しているという解釈が成り立ちます。プール非所有が増えることと併せて考えると、どのような結論になるでしょうか?
カリフォルニアで私が住んでいた町(ロサンゼルスから自動車で2時間)にもジェット機が発着する地方空港がありましたが、ラグーンの中に位置し、人口密度はゼロに近い場所でした。各国の主要国際空港が首都の中心に位置しないことを上記観察結果と合わせて考えると、空港はNIMBYの代表格なのだろうと、背筋がちょっと寒くなりました。
↓ コロラド州コロラドスプリング市郊外。こちらから転載させて頂きました。

↓ シャルル・ドゴール空港。こちらから転載させて頂きました。

↓ 教授宅のプールはこんな感じでした。こちらから転載させて頂きました。

↓ キャビンクルーザーの牽引。こちらから転載させて頂きました。

2025年03月28日
シミュレーション技術の落とし穴
今回はシミュレーションの話をします。シミュレーションと言ってもネイ〇〇〇選手が得意と言われる「アレ」ではなく、計算機シミュレーションの事です。計算機シミュレーションを実施するための装置をシミュレーターと言います。疑似体験装置もシミュレーターと呼ばれますが、ここでは計算機シミュレーションに対象を限定します。
〉
シミュレーターは様々な予測を助けるために用いられます。我々にとって最も身近なシミュレーターは天気予報です。コンピューターに未来の大気や水の動きを計算させ、天候の予測が予報として我々に提供されます。100%の確率で「当たる」訳ではありませんが、予定を立てたり災害に備えたりする上ではとても便利で日々の生活に役立っています。
〉
シミュレーターは天気予報の他にも様々な場面で利活用されています。飛行機の設計においてシミュレーターが用いられるのは有名です。「こういう構造にするとこのような空気力学特性や構造強度、熱発生分布が得られる『はずである』」という答をあらかじめ与えてくれます。実際に機体を作る前に、設計した構造に変更や修正を加えるための見当が与えられ、テスト費用や製造コストが大幅に圧縮されます。
〉
スマホやコンピューターに搭載される集積回路の設計でもシミュレーターは大活躍です。最近のマイクロプロセッサにはトランジスタが数十億個搭載されるので、設計にはコンピューターの助けが必要です。回路を試作する前にその動作の予測を、設計の良否の判断材料を、与えてくれるのがシミュレーターです。
〉
他方、「計算機シミュレーションを信用していない」という技術分野があることを私は知っています。
〉
シミュレーターの基本動作は、一般に、対象となる物理現象や化学反応を記述する数式の解をコンピューターに算出させることです。用いられる数式は原理原則から導かれていますので、ほぼ間違いのないものです。が、計算で必ず必要となるのがパラメータと境界条件です。パラメータとは、例えば、物質などの性質を規定する定数(あるいは変数)です。境界条件は計算の対象となる空間と外部との境界の条件の事で、そこでの値や振る舞いを定めてから計算を進めます。多くの場合、これらの設定がシミュレーション結果を大きく左右します。つまり、同じ対象に同じシミュレーターを施しても、パラメータと境界条件の選択次第では結果が真逆になることもあるわけです。
〉
先の例として挙げた天気予報や航空機設計では、パラメータと境界条件の選び方がかなり突き詰められているので、十分に高い正確性が担保されています。要点はその「突き詰め」が如何様になされるかです。それが厳しければ厳しいほど、回数が多ければ多いほど、シミュレーターの性能は上がります。
〉
天気予報は好例を与えてくれます。まず、予報(=シミュレーション結果)の正否が万人の目で即座に判断されます。予報を打ち出す側としてはかなりのプレッシャーとなっていると思われます。予報が外れた場合には「間違った原因は何か」の徹底追及がされるはずです。この追及は、おそらく、1年で365回行われるのではないでしょうか。毎日ということです。この高頻度のチェック機能こそ、シミュレーターを育てます。
〉
これに対して「1度の間違いが許されない」対象のシミュレーションもあります。そのような場合には、パラメータと境界条件の突き詰めに「回数」を重ねることができません。従って、部分的な実験や小規模試験機でシミュレーション結果の正確性を「確かめる」という補足が不可欠になります。航空機設計シミュレーターではその積み重ねが十二分になされていると考えられます。
〉
ところが、「1度の間違いが許されない」上に「実験や試験機による確認が困難」という対象があります。このような場合には、シミュレーターの正確性を高める手段がありません。結果、「計算機シミュレーションを信用してはいけない」という技術判断となります。多くの場合、「安全係数を大きくとっての無難な判断」が妥当という結論となります。あるいは「計画の実施をとりやめる」という判断もあり得ると思われます。
〉
この「1度の間違いが許されない」上に「実験や試験機による確認が困難」という対象、どんなものがあるでしょうか?皆様にもお考え頂ければ幸甚です。
〉
ここでの結論を最後に書いておきます。「シミュレーション技術には精度の高いものとそうでないものがあることを認識し、精度の高いシミュレータへの信頼度を精度の低いシミュレーション結果にも当てはめてしまい、回避すべき失敗の可能性を見間違う愚(落とし穴)を犯してはならない」となります。
〉


〉
シミュレーターは様々な予測を助けるために用いられます。我々にとって最も身近なシミュレーターは天気予報です。コンピューターに未来の大気や水の動きを計算させ、天候の予測が予報として我々に提供されます。100%の確率で「当たる」訳ではありませんが、予定を立てたり災害に備えたりする上ではとても便利で日々の生活に役立っています。
〉
シミュレーターは天気予報の他にも様々な場面で利活用されています。飛行機の設計においてシミュレーターが用いられるのは有名です。「こういう構造にするとこのような空気力学特性や構造強度、熱発生分布が得られる『はずである』」という答をあらかじめ与えてくれます。実際に機体を作る前に、設計した構造に変更や修正を加えるための見当が与えられ、テスト費用や製造コストが大幅に圧縮されます。
〉
スマホやコンピューターに搭載される集積回路の設計でもシミュレーターは大活躍です。最近のマイクロプロセッサにはトランジスタが数十億個搭載されるので、設計にはコンピューターの助けが必要です。回路を試作する前にその動作の予測を、設計の良否の判断材料を、与えてくれるのがシミュレーターです。
〉
他方、「計算機シミュレーションを信用していない」という技術分野があることを私は知っています。
〉
シミュレーターの基本動作は、一般に、対象となる物理現象や化学反応を記述する数式の解をコンピューターに算出させることです。用いられる数式は原理原則から導かれていますので、ほぼ間違いのないものです。が、計算で必ず必要となるのがパラメータと境界条件です。パラメータとは、例えば、物質などの性質を規定する定数(あるいは変数)です。境界条件は計算の対象となる空間と外部との境界の条件の事で、そこでの値や振る舞いを定めてから計算を進めます。多くの場合、これらの設定がシミュレーション結果を大きく左右します。つまり、同じ対象に同じシミュレーターを施しても、パラメータと境界条件の選択次第では結果が真逆になることもあるわけです。
〉
先の例として挙げた天気予報や航空機設計では、パラメータと境界条件の選び方がかなり突き詰められているので、十分に高い正確性が担保されています。要点はその「突き詰め」が如何様になされるかです。それが厳しければ厳しいほど、回数が多ければ多いほど、シミュレーターの性能は上がります。
〉
天気予報は好例を与えてくれます。まず、予報(=シミュレーション結果)の正否が万人の目で即座に判断されます。予報を打ち出す側としてはかなりのプレッシャーとなっていると思われます。予報が外れた場合には「間違った原因は何か」の徹底追及がされるはずです。この追及は、おそらく、1年で365回行われるのではないでしょうか。毎日ということです。この高頻度のチェック機能こそ、シミュレーターを育てます。
〉
これに対して「1度の間違いが許されない」対象のシミュレーションもあります。そのような場合には、パラメータと境界条件の突き詰めに「回数」を重ねることができません。従って、部分的な実験や小規模試験機でシミュレーション結果の正確性を「確かめる」という補足が不可欠になります。航空機設計シミュレーターではその積み重ねが十二分になされていると考えられます。
〉
ところが、「1度の間違いが許されない」上に「実験や試験機による確認が困難」という対象があります。このような場合には、シミュレーターの正確性を高める手段がありません。結果、「計算機シミュレーションを信用してはいけない」という技術判断となります。多くの場合、「安全係数を大きくとっての無難な判断」が妥当という結論となります。あるいは「計画の実施をとりやめる」という判断もあり得ると思われます。
〉
この「1度の間違いが許されない」上に「実験や試験機による確認が困難」という対象、どんなものがあるでしょうか?皆様にもお考え頂ければ幸甚です。
〉
ここでの結論を最後に書いておきます。「シミュレーション技術には精度の高いものとそうでないものがあることを認識し、精度の高いシミュレータへの信頼度を精度の低いシミュレーション結果にも当てはめてしまい、回避すべき失敗の可能性を見間違う愚(落とし穴)を犯してはならない」となります。
〉
↓ 将来の飛行機構造の一つとしてシミュレーションされた機体。こちらから転載させて頂きました。

↓ 南米の収穫天気予報図。こちらから転載させて頂きました。

2025年03月26日
天空の池 南アルプスの山頂は水も緑も豊か
かつて登山を趣味にしていたころ、南アルプスの山々が好きでした。機会があれば南アルプスの百名山に挑戦していました。結果、塩見岳を除く南アルプスの百名山の山頂に立つことができました。そこで目にしたことを以下に記します。
最初に挑んだのが南アルプスの北端にある仙丈ケ岳や甲斐駒ヶ岳でした。そして、赤石岳と荒川(悪沢)岳、北岳と間ノ岳、光岳と聖岳などに挑戦しました。
最初の頃に、二つのことがとても印象に残りました。現在も変わりはありません。「森林限界標高が高い」と「崩壊が激しい」ということです。
南アルプスには3000m級の峰々が多々あるのですが、「高山=岩山」という他の山脈と異なり、山麓からかなりの高度まで森林が続いています。3000mを超える頂上付近でも植生が豊かです。これは山脈が南方に位置する上に降水量が多いためと言われています。
他方で、隆起が他の山脈と比較して激しいため、その分、崩壊が激しいようです。特に、荒川岳でそれが顕著でした。大井川流域のダムが土砂で埋まるのが早いのはそのためです。しかし、高い森林限界標高は、おそらく、崩壊を抑圧する一助になっているはずです。
さらには、「天空の池」とも思われる環境までもあります。尾根が森林で覆われている茶臼岳(2604m)付近では写真のような池が存在します。
水も緑も豊富な南アルプス、その魅力がいつまでも続きますように心から願っています。







最初に挑んだのが南アルプスの北端にある仙丈ケ岳や甲斐駒ヶ岳でした。そして、赤石岳と荒川(悪沢)岳、北岳と間ノ岳、光岳と聖岳などに挑戦しました。
最初の頃に、二つのことがとても印象に残りました。現在も変わりはありません。「森林限界標高が高い」と「崩壊が激しい」ということです。
南アルプスには3000m級の峰々が多々あるのですが、「高山=岩山」という他の山脈と異なり、山麓からかなりの高度まで森林が続いています。3000mを超える頂上付近でも植生が豊かです。これは山脈が南方に位置する上に降水量が多いためと言われています。
他方で、隆起が他の山脈と比較して激しいため、その分、崩壊が激しいようです。特に、荒川岳でそれが顕著でした。大井川流域のダムが土砂で埋まるのが早いのはそのためです。しかし、高い森林限界標高は、おそらく、崩壊を抑圧する一助になっているはずです。
さらには、「天空の池」とも思われる環境までもあります。尾根が森林で覆われている茶臼岳(2604m)付近では写真のような池が存在します。
水も緑も豊富な南アルプス、その魅力がいつまでも続きますように心から願っています。
↓ この池がどこにあるか分かりますか?

↓ 小赤石岳(3081m)の雪渓。頂上付近まで植生。後方には赤石岳や荒川岳も。

↓ 荒川岳の中岳(3074m)の避難小屋。頂上付近まで緑。お花畑も。

↓ 中岳(3074m)のライチョウ。ヒナも写っています。食する緑の中に佇んでいます。

↓ 赤石岳(3120.5m)から聖岳(3013m)方面。二重の虹が縦方向に立っています。雪渓も見えます。いずれも水の芸術。

↓ 雲沸き立つ南アルプス。水が無ければこれも、、、。

↓ リニア中央新幹線ルート。こちらから転載させて頂きました。

2025年03月25日
O-65サッカーを観戦しました
65歳以上(over 65:O-65)を参加資格とするサッカー大会が開催されるというので見に行ってきました。
〉
あるよく晴れた午前中、横井サッカー場まで足を運びました。駐車場には静岡ナンバーの他に、長野ナンバー、山梨ナンバー、浜松ナンバーの自動車がたくさん並んでいました。これが噂に聞く三県交流シニアサッカー大会かと得心しました。
〉
試合はすでに始まっていて、白色ユニフォームのチームと藤色ユニフォームのチームが戦っていました。全盛期の運動量や走力は無理としても、選手の皆さんはとても元気でとてもとても上手でした。選手間の声掛けも大きく鋭く、各々のポジショニングやパスワークもさすがでした。皆さん、楽しそうで、羨ましい限り。次の対戦は空色ユニフォームのチームと赤色ユニフォームのチーム。こちらも熱戦でした。
〉
島田市の施設がこのような広域交流イベントに活用されるのは素晴らしいことだと感服した次第です。
〉
サッカーコートに目を転ずると、人工芝やナイター照明が整備され、利用しやすい施設となっていると感じました。子供用コート2面のラインがデフォルトで引かれているのもさすがです。ただ、スコアボードが見当たらなかったので、どうしたのだろうと訝し気に感じました。
〉
横井サッカー場は大井川の堤防の脇に位置するため、日当たりは抜群で、明るい感じが好印象でした。ただ、夏の人工芝は相当に暑いかもしれないとも感じました。また、大井川の強風はなかなかのもので、選手のボールコントロールに強い影響を与えていました。自然環境として仕方がないものとはいえ、防風ネットが有効かもしれない、、、などと独り言ちました。
〉
コートの脇にはロッカールームとトイレが設置されていました。当然ですが、男性用と女性用が区別されていました。ロッカールームが少し狭いかなと感じましたが、まずまずではないでしょうか?シャワーの存在は確認できませんでしたが、備わっているとすれば素晴らしいと思われます。
〉
ともあれ、楽しい時間を過ごせました。熱いプレーからは元気も頂きました。と同時に、耐摩耗性の高い天然芝コートが市内にあってもよいかもと感じました。
〉

〉
あるよく晴れた午前中、横井サッカー場まで足を運びました。駐車場には静岡ナンバーの他に、長野ナンバー、山梨ナンバー、浜松ナンバーの自動車がたくさん並んでいました。これが噂に聞く三県交流シニアサッカー大会かと得心しました。
〉
試合はすでに始まっていて、白色ユニフォームのチームと藤色ユニフォームのチームが戦っていました。全盛期の運動量や走力は無理としても、選手の皆さんはとても元気でとてもとても上手でした。選手間の声掛けも大きく鋭く、各々のポジショニングやパスワークもさすがでした。皆さん、楽しそうで、羨ましい限り。次の対戦は空色ユニフォームのチームと赤色ユニフォームのチーム。こちらも熱戦でした。
〉
島田市の施設がこのような広域交流イベントに活用されるのは素晴らしいことだと感服した次第です。
〉
サッカーコートに目を転ずると、人工芝やナイター照明が整備され、利用しやすい施設となっていると感じました。子供用コート2面のラインがデフォルトで引かれているのもさすがです。ただ、スコアボードが見当たらなかったので、どうしたのだろうと訝し気に感じました。
〉
横井サッカー場は大井川の堤防の脇に位置するため、日当たりは抜群で、明るい感じが好印象でした。ただ、夏の人工芝は相当に暑いかもしれないとも感じました。また、大井川の強風はなかなかのもので、選手のボールコントロールに強い影響を与えていました。自然環境として仕方がないものとはいえ、防風ネットが有効かもしれない、、、などと独り言ちました。
〉
コートの脇にはロッカールームとトイレが設置されていました。当然ですが、男性用と女性用が区別されていました。ロッカールームが少し狭いかなと感じましたが、まずまずではないでしょうか?シャワーの存在は確認できませんでしたが、備わっているとすれば素晴らしいと思われます。
〉
ともあれ、楽しい時間を過ごせました。熱いプレーからは元気も頂きました。と同時に、耐摩耗性の高い天然芝コートが市内にあってもよいかもと感じました。
〉
↓ 静岡新聞に掲載されているシニアサッカーの一場面。

2025年03月24日
超音速旅客機コンコルドの終焉
〉
今回はコンコルドのことを述べてみたいと思います。
〉
コンコルドと言っても駅前のパチンコ屋さんの事ではありません。超音速で大空を馳せていた旅客機です。フランスとイギリスの共同開発のコンコルドはマッハ2(音速の2倍)を超す高速性が売り物の旅客機でした。
〉
フランスのシャルルドゴール空港に駐機されているコンコルドを、私は上空から見たことがあります。着陸間際のボーイング機からでした。ジャンボジェット機もすぐ隣に駐機されていて、両者の大きさを目視で比較することができました。率直なところ、「こんなに小さいのか!」と驚くようなコンコルドの機体でした。特に客席を収容する胴体部分がプロペラ機並みに細かったのが印象的でした。
〉
それは、おそらく、コンコルドの最後の営業の頃だったと思われます。つまり、ジャンボジェット機との競争に負けたのが明確になった時期でした。コンコルドは合計20機が生産されたそうです。同時期(初飛行が同じ1969年)にデビューしたジャンボジェット機の生産は1600機弱でした。ジャンボジェット機は80倍の需要という圧勝結果を手にした訳です。
〉
コンコルドはニューヨーク・ロンドン間やニューヨーク・パリ間に就航していました。ジャンボジェット機がニューヨーク・ロンドンの空港間を約5時間で結んでいたのに対して、コンコルドは3時間弱で飛ぶことができました。これほどの速度差があったのにコンコルドはなぜ80分の一の惨敗を喫したのでしょうか?
〉
コンコルドではジャンボジェット機のファーストクラス並みの料金が設定されていたそうですが、座席はエコノミー席並みの狭さだったようです。お金で時間を買う必要のある層にはこれでもよいかもしれませんが、不満が出そうなコスパ条件です。
〉
もう一つ要注意点があります。国際便の経験がある方にはご理解頂けると思いますが、飛行機での移動に必要な時間は「空を飛んでいる時間」だけではないという事情です。ビジネス街のマンハッタン島(ウォール街やエンパイアステートビルがあります)から国際空港のJFK空港までは、私が経験した時の話ですが、交通渋滞が無くても車で1時間は掛かりました(現在(※)の状況は把握していません)。ロンドン中心街(金融街のシティやバッキンガム宮殿があります)への国際空港のヒースロー空港からの移動にも同様の時間が掛かります。加えて、パスポートや荷物の確認のための時間、空港到着余裕時間や税関の時間がこれに加わります。空港の中で費やされる時間です。コンコルドの乗客が出入国手続きや税関で特別扱いされることがあったかもしれませんが、それでも合計で2時間程度は必要だったでしょう。911事件以降は空港セキュリティが強化されたので、さらに長い時間が必要だったと思われます。
〉
ここで、マンハッタン島からロンドン中心街までの移動時間を比較してみましょう。コンコルドの場合は最短で7時間です。ジャンボジェット機では最短で9時間です。あなたならばどちらを選びますか?私にお金が十分あったならばという非現実的な仮定の下で選択させてもらうのなら、ジャンボジェット機のビジネスクラスを選択します。お金が無い場合には、もちろん、ジャンボジェット機のエコノミークラスです。コンコルドに対しては「試しに一回乗って超音速を体験しておしまい」でしょう、ファーストクラス並みのお金が準備できればですが。多くの人々がそのように思ったからこそ、コンコルドは終焉を迎えたのでしよう。
〉
交通機関のビジネスは移動速度の高低だけでは優劣が決まらないということですね。同じ比較がJR東海のリニアモーターカーとのぞみの間にも成立してしまわないか、ちょっと心配している毎日です。「賢者は歴史に学ぶ」であってほしいところです。
〉
※)2003年末からエアトレインJFKという新交通システムが運航しているようですが、マンハッタン島までの直接のアクセスは無く、途中で地下鉄やタクシー、バスへの乗り換えが必要とのことです。
〉
今回はコンコルドのことを述べてみたいと思います。
〉
コンコルドと言っても駅前のパチンコ屋さんの事ではありません。超音速で大空を馳せていた旅客機です。フランスとイギリスの共同開発のコンコルドはマッハ2(音速の2倍)を超す高速性が売り物の旅客機でした。
〉
フランスのシャルルドゴール空港に駐機されているコンコルドを、私は上空から見たことがあります。着陸間際のボーイング機からでした。ジャンボジェット機もすぐ隣に駐機されていて、両者の大きさを目視で比較することができました。率直なところ、「こんなに小さいのか!」と驚くようなコンコルドの機体でした。特に客席を収容する胴体部分がプロペラ機並みに細かったのが印象的でした。
〉
それは、おそらく、コンコルドの最後の営業の頃だったと思われます。つまり、ジャンボジェット機との競争に負けたのが明確になった時期でした。コンコルドは合計20機が生産されたそうです。同時期(初飛行が同じ1969年)にデビューしたジャンボジェット機の生産は1600機弱でした。ジャンボジェット機は80倍の需要という圧勝結果を手にした訳です。
〉
コンコルドはニューヨーク・ロンドン間やニューヨーク・パリ間に就航していました。ジャンボジェット機がニューヨーク・ロンドンの空港間を約5時間で結んでいたのに対して、コンコルドは3時間弱で飛ぶことができました。これほどの速度差があったのにコンコルドはなぜ80分の一の惨敗を喫したのでしょうか?
〉
コンコルドではジャンボジェット機のファーストクラス並みの料金が設定されていたそうですが、座席はエコノミー席並みの狭さだったようです。お金で時間を買う必要のある層にはこれでもよいかもしれませんが、不満が出そうなコスパ条件です。
〉
もう一つ要注意点があります。国際便の経験がある方にはご理解頂けると思いますが、飛行機での移動に必要な時間は「空を飛んでいる時間」だけではないという事情です。ビジネス街のマンハッタン島(ウォール街やエンパイアステートビルがあります)から国際空港のJFK空港までは、私が経験した時の話ですが、交通渋滞が無くても車で1時間は掛かりました(現在(※)の状況は把握していません)。ロンドン中心街(金融街のシティやバッキンガム宮殿があります)への国際空港のヒースロー空港からの移動にも同様の時間が掛かります。加えて、パスポートや荷物の確認のための時間、空港到着余裕時間や税関の時間がこれに加わります。空港の中で費やされる時間です。コンコルドの乗客が出入国手続きや税関で特別扱いされることがあったかもしれませんが、それでも合計で2時間程度は必要だったでしょう。911事件以降は空港セキュリティが強化されたので、さらに長い時間が必要だったと思われます。
〉
ここで、マンハッタン島からロンドン中心街までの移動時間を比較してみましょう。コンコルドの場合は最短で7時間です。ジャンボジェット機では最短で9時間です。あなたならばどちらを選びますか?私にお金が十分あったならばという非現実的な仮定の下で選択させてもらうのなら、ジャンボジェット機のビジネスクラスを選択します。お金が無い場合には、もちろん、ジャンボジェット機のエコノミークラスです。コンコルドに対しては「試しに一回乗って超音速を体験しておしまい」でしょう、ファーストクラス並みのお金が準備できればですが。多くの人々がそのように思ったからこそ、コンコルドは終焉を迎えたのでしよう。
〉
交通機関のビジネスは移動速度の高低だけでは優劣が決まらないということですね。同じ比較がJR東海のリニアモーターカーとのぞみの間にも成立してしまわないか、ちょっと心配している毎日です。「賢者は歴史に学ぶ」であってほしいところです。
〉
※)2003年末からエアトレインJFKという新交通システムが運航しているようですが、マンハッタン島までの直接のアクセスは無く、途中で地下鉄やタクシー、バスへの乗り換えが必要とのことです。
〉
↓ ブリティッシュエアウエイズのコンコルド。こちらから転載させて頂きました。

↓ PANAMのジャンボジェット機。こちらから転載させて頂きました。

〉〉〉〉
2025年03月21日
「緑茶化計画の矛盾」について考えてみました
本論では「緑茶化計画が矛盾に満ちている」ことを結論としています。それではご高覧下さい。
〉
----------
専らJR六合駅の利用者だったので、気が付いていなかったのですが、久しぶりにJR島田駅で電車を降りて改札口を北に曲がり階段を下りてゆくと「地球上で最も緑茶を愛する街・島田市」の横断幕がありました。「島田市はそのような街である」という断定調の文言です。
〉
「島田はそうだったのか、そういえば、小中学生のころにお茶摘みに駆り出されたことがあったな」とその時は感じ入りました。が、駅前広場のどこにもその続きがありません。ロータリー中央にある栄西禅師の立像が目に入りましたが、「この人は島田とどんな関係があったかな、、、?」と首をひねりました。逆に連歌師の宗長さんの碑の周辺の植栽が野放図で「おやおや」と。
〉
確かに、かつて同居していた曾祖母や祖父母や父母は緑茶を頻繁に飲んでいました。どこで茶葉を買ってくるかは家庭内議論の的でした。自分自身も島田の井戸水で入れた緑茶を子どもの頃から好んで飲んでいましたが、東京の水道水で頂くお茶が同じ茶葉でも全くおいしくなかったと感じた記憶が呼び起されました。大学生協の売店の棚にハラダ製茶のお茶(だけ)が並んでいるのを見たり、生協の生産地見学ツアーに島田の茶工場が入っていたり、をうれしく感じたりしていたことも。これが地球上で最も緑茶を愛するということだったのかも、と思いました。
〉
しばらく前に台湾の台北に旅行で行ったことがありました。台北には近隣の山を巡る「猫空」というロープウェイがあって、その最上部には茶畑が広がっていました。お茶の博物館もあったような。都市全体が「お茶の町」という雰囲気でしたが、「あそこでは茶色のお茶で緑茶ではないから競争相手ではないのか、、」などなど。さらに、「空港と金谷駅の間を猫空のようなロープウエイで結ぶのも一案かな、、」とも。
〉
とまれ、そのような緑茶好きな島田市民に対して、緑茶化計画なるものがあることをその後に知りました。これによると「地球上で最も緑茶を愛する街『にする』」計画が島田緑茶化計画なのだそうです。おや?
〉
どう考えてもおかしい。すでに「地球上で最も、、」なのか、これから「地球上で最も、、」を目指すのか?両方を同時に掲げているとすれば、明らかなダブルスタンダード。
〉
「すでに」であれば、緑茶化計画は屋上屋を架すような無駄ですね。「これから目指す」のであれば、十二分に緑茶に馴染んできた島田市民をどのように改造してゆくのか、、、がよくわかりません。日本を代表し世界から称賛されるような緑茶文化の未来を育成してゆくのであればまだよいのですが、、。何と言っても、「極東史上最も優れた文学作品を生み出した詩人のひとり」と称される宗長さんの生まれ故郷の島田ですから。
〉
大いなる矛盾を感じ続けている今日この頃です。
〉
この行政考察シリーズの最初はこちらです。
〉


〉
----------
専らJR六合駅の利用者だったので、気が付いていなかったのですが、久しぶりにJR島田駅で電車を降りて改札口を北に曲がり階段を下りてゆくと「地球上で最も緑茶を愛する街・島田市」の横断幕がありました。「島田市はそのような街である」という断定調の文言です。
〉
「島田はそうだったのか、そういえば、小中学生のころにお茶摘みに駆り出されたことがあったな」とその時は感じ入りました。が、駅前広場のどこにもその続きがありません。ロータリー中央にある栄西禅師の立像が目に入りましたが、「この人は島田とどんな関係があったかな、、、?」と首をひねりました。逆に連歌師の宗長さんの碑の周辺の植栽が野放図で「おやおや」と。
〉
確かに、かつて同居していた曾祖母や祖父母や父母は緑茶を頻繁に飲んでいました。どこで茶葉を買ってくるかは家庭内議論の的でした。自分自身も島田の井戸水で入れた緑茶を子どもの頃から好んで飲んでいましたが、東京の水道水で頂くお茶が同じ茶葉でも全くおいしくなかったと感じた記憶が呼び起されました。大学生協の売店の棚にハラダ製茶のお茶(だけ)が並んでいるのを見たり、生協の生産地見学ツアーに島田の茶工場が入っていたり、をうれしく感じたりしていたことも。これが地球上で最も緑茶を愛するということだったのかも、と思いました。
〉
しばらく前に台湾の台北に旅行で行ったことがありました。台北には近隣の山を巡る「猫空」というロープウェイがあって、その最上部には茶畑が広がっていました。お茶の博物館もあったような。都市全体が「お茶の町」という雰囲気でしたが、「あそこでは茶色のお茶で緑茶ではないから競争相手ではないのか、、」などなど。さらに、「空港と金谷駅の間を猫空のようなロープウエイで結ぶのも一案かな、、」とも。
〉
とまれ、そのような緑茶好きな島田市民に対して、緑茶化計画なるものがあることをその後に知りました。これによると「地球上で最も緑茶を愛する街『にする』」計画が島田緑茶化計画なのだそうです。おや?
〉
どう考えてもおかしい。すでに「地球上で最も、、」なのか、これから「地球上で最も、、」を目指すのか?両方を同時に掲げているとすれば、明らかなダブルスタンダード。
〉
「すでに」であれば、緑茶化計画は屋上屋を架すような無駄ですね。「これから目指す」のであれば、十二分に緑茶に馴染んできた島田市民をどのように改造してゆくのか、、、がよくわかりません。日本を代表し世界から称賛されるような緑茶文化の未来を育成してゆくのであればまだよいのですが、、。何と言っても、「極東史上最も優れた文学作品を生み出した詩人のひとり」と称される宗長さんの生まれ故郷の島田ですから。
〉
大いなる矛盾を感じ続けている今日この頃です。
〉
この行政考察シリーズの最初はこちらです。
〉
↓ 台北の茶芸館。こちらから転載させて頂きました。

↓ 「史迹 宗長菴阯」とあります。宗長庵がここにあったということでしょうか?

2025年03月20日
「島田市のどぶ川を清流に戻す方法」について考えてみました
本論考の結論は「島田のどぶ川は清流に戻すことができる」です。それではご高覧下さい。
〉
----------
島田市内の用水路の水が枯れてしまい、どぶ川となってしまっているケースが多々あるようです。
〉
大井川に流れる水の減少は長い間の懸案です。最近の例では、「火事に消防自動車が多数駆けつけてくれたのは良かったが、あてにしていた大井川の水が河岸からあまりに遠いために、消火活動が満足にできなかった」という話も耳にします。
〉
ですが、島田市内の用水路のどぶ川化の原因は、どうやら、この水不足ではなさそうなのです。
〉
この行政考察シリーズはこちらに続きます。
〉

〉
----------
島田市内の用水路の水が枯れてしまい、どぶ川となってしまっているケースが多々あるようです。
〉
大井川に流れる水の減少は長い間の懸案です。最近の例では、「火事に消防自動車が多数駆けつけてくれたのは良かったが、あてにしていた大井川の水が河岸からあまりに遠いために、消火活動が満足にできなかった」という話も耳にします。
〉
ですが、島田市内の用水路のどぶ川化の原因は、どうやら、この水不足ではなさそうなのです。
〉
この行政考察シリーズはこちらに続きます。
〉
↓ 神座分水工。こちらから転載させて頂きました。
